毎日使っているのに、いざ説明しようとすると言葉が出てこないことってありますよね。
結論からいうと、生成AIアドバイザー認定試験は、生成AIを使う側の知識を体系化するための民間資格です。2級は一般8,800円・50問・60分、1級は11,000円・100問・120分で、どちらの級からでも受験できます。満点・配点と合格率は公開されていないので、その点は知っておきましょう。
この記事では、試験の基本仕様と出題範囲、1級と2級の選び方、AI活用アドバイザーとの違いを紹介します。
「触れている」と「わかっている」の間には、思った以上に深い溝があります。この記事はその溝を埋める手段として、生成AIアドバイザー認定試験を検討する話です。
※生成AIアドバイザーはIPAの試験ではないため、この休止の影響を受けません。
1級・2級の基本仕様
2級を取らなくても1級から受けられるので、どちらを選ぶかは受験料と問題数で決められます。範囲が統一された経緯と、残った違いは生成AIアドバイザー2級は難しくなった?に書きました。
| 項目 | 2級 | 1級 |
|---|---|---|
| 受験料(一般) | 8,800円(税込) | 11,000円(税込) |
| 受験料(学生割引) | 7,040円(税込) | 8,800円(税込) |
| 問題数 | 50問 | 100問 |
| 試験時間 | 60分 | 120分 |
| 合格基準 | 正答率70%以上 | 正答率70%以上 |
| 受験資格 | どちらの級からでも受験可 | 同左 |
受験方法の追加費用(1級・2級共通)
| 受験方法 | 追加費用 |
|---|---|
| 公開会場受験 | 0円 |
| CBT受験 | +1,500円 |
| オンラインIBT受験 | +3,000円 |
公表されている試験日程
| 回次 | 試験日 |
|---|---|
| 第3回 | 令和8年(2026年)8月30日(日) |
| 第4回 | 令和8年(2026年)11月29日(日) |
| 第5回 | 令和9年(2027年)2月21日(日) |
※第4回の申込期限は令和8年10月22日(木)と公表されています。第3回については申込期限を確認できなかったため、受験を検討する場合は公式ページで締切をご確認ください。
※価格・日程は2026年7月時点の調査によるものです。変動する場合があるので、申込時は公式ページでご確認ください。
日程を見ると約3か月間隔で実施されています。ここは助かるポイントで、「次まで半年待ち」という試験ではありません。落ちても3か月後に再挑戦できる設計です。ただし結果がいつ分かるかは試験によって扱いが違うので、AIアドバイザーの合格発表もあわせてどうぞ。
そして注目すべきは「どちらの級からでも受験できる」という点。2級を取らないと1級を受けられない、という縛りがありません。実務で生成AIを日常的に使っている方なら、いきなり1級を狙うのも現実的な選択です。
出題範囲:プロンプトエンジニアリングが入っている
出題は8つの課題と、その他で構成されています。
このほか「AI事業者ガイドライン」なども含まれます。
3番のプロンプトエンジニアリングが範囲に入っているのが、この試験の性格を決めています。ほかのAI系資格だと「AIとは何か」の理解までで止まりがちですが、この試験は実際に指示を書いて成果を出す部分まで問う設計です。
エンジニア視点で言うと、5番(リスクと限界、倫理・著作権・情報管理)がいちばん実務で役立ちます。生成AIの事故は、たいてい技術の失敗ではなく「入れてはいけない情報を入れた」「出てきたものの権利関係を確認しなかった」で起きます。私が社内で何度も止めた話も、ほぼ全部この領域でした。ここを言葉で説明できる人が組織に1人いるだけで、事故の確率がはっきり下がります。
6番の「AIと人間の役割分担」も見逃せません。現場でいちばん揉めるのは、実は「どこまでAIに任せるか」の線引きです。この線を引けない組織は、AIを入れても混乱が増えるだけで終わります。
1級と2級、どっちを受けるべき?
問題数と時間は倍違いますが、出題範囲は1級と2級で同じです。協会は第3回試験(2026年8月30日実施)から、2級の出題範囲を変更して1級と統一しました。合格基準もどちらも正答率70%以上で、級によって基準が変わるわけではありません。残る違いは、問題数と試験時間、そして出題内容の難度です。
・まず自分の理解度を測りたい
・60分で終わるので負担が軽い
・社内で聞かれる立場になりつつある
・時間とお金を1回で済ませたい
迷ったら2級からでいいと思います。理由は費用ではなく、この分野は「知らないことを知る」段階がいちばん大切だからです。範囲は同じなので、2級で一度通してみると、どこが自分の穴かが見えます。一度受けて手応えがなかった場合は、AIアドバイザーに落ちたらで次の回と見直す順番を整理しています。
AI活用アドバイザーとの違い
同じ団体が実施しているAI活用アドバイザー認定試験とどちらを選ぶか、というのが最大の分岐点です。
| 生成AIアドバイザー | AI活用アドバイザー | |
|---|---|---|
| 級の区分 | 1級・2級 | なし |
| 受験料(一般) | 2級 8,800円 / 1級 11,000円 | 11,000円 |
| 問題数・時間 | 2級 50問60分 / 1級 100問120分 | 100問・105分 |
| 満点の公開 | 非公開 | 152点満点(公開) |
| 特徴的な出題 | プロンプトエンジニアリング | AIの技術・AIプロジェクトの流れ・人材/導入動向 |
| 向く方向 | 生成AIを使いこなす | AIを組織に入れる |
基礎・事例・倫理の範囲は両者で重なります。違うのは重心だけです。
重複が大きいので、両方受ける必要性は高くありません。どちらか1つで十分です。
なお、ITパスポートの新制度でもAI分野の比重が上がる方向で見直しが進んでいます。国家資格としての土台が欲しい方は2027年の新制度まとめと生成AIとITパスポートの記事もあわせてどうぞ。
注意点
3つあります。
① 満点・配点が公開されていない
これは同じ団体のAI活用アドバイザーと比べたときの明確な差です。あちらは「152点満点・2択1点・4択2点」まで公開されているので、どこで点を取るかの作戦が立てられます。一方こちらは問題数と時間しかわからないので、対策の重心を数字で決められません。細かい話に見えますが、独学の人には意外と大きな差です。公式のサンプル問題については生成AIアドバイザーの過去問はどこ?にまとめました。独学で進める順番は生成AIアドバイザーは独学で受かる?に書きました。
② 合格率が公表されていない
「合格率○%だから安心」という判断ができません。難易度の外形的な裏付けがない状態で申し込むことになります。加えて公式には「問題の難易度により調整し、正答率70%以下でも合格とする場合があります」とあり、基準そのものが変わる前提です。これは受験者に有利に働くこともありますが、目標設定はしづらくなります。
③ 民間資格なので、履歴書での破壊力は限定的
国家資格ではないため、人事が名前を知らない可能性は十分あります。書けるのは「生成AIに主体的に取り組んだ証跡」までで、そこから先は面接で何を語れるかの勝負です。加えてプロンプトエンジニアリングは変化の速い領域なので、取って終わりにはできません。
弱点を並べましたが、私はこの試験を否定していません。「何が手に入って、何は手に入らないか」がわかっていれば、資格は道具として十分に使えます。
向いている人・向いていない人
- 生成AIを使っているが、人に説明できるほど整理されていない人
- 非エンジニア職で、社内のAI活用を進める役を振られた人
- 著作権・情報管理のリスクを言葉にできるようになりたい人
- ITパスポートの受験枠が取れず、学習の勢いを止めたくない人
- 転職での即効性を求めている人(国家資格や実務成果のほうが効果的です)
- モデル構築・実装のスキルを証明したい人(この試験の範囲外です)
- AIを「組織に導入する」側の知識が欲しい人(AI活用アドバイザーが近いです)
自分の目的から資格を選び直したい方は目的別の資格の選び方も参考にしてください。
対策はどう進めるか
出題が8課題に整理されているので、独学の設計はしやすい試験です。用語を入れて、出題形式に慣れましょう。基本はそれで足ります。
ただし前述のとおり満点・配点が非公開なので、「どこで何点取る」という作戦は立てられません。となると現実的な戦略は、全課題をまんべんなく7割以上に持ち上げるしかありません。苦手な課題を捨てて他で補う、という発想が使えないのがこの試験の難しさです。
もうひとつの落とし穴は、プロンプトエンジニアリングと最新動向は独学で線引きしづらいことです。ネット上の情報は日々更新されるので、「試験で問われるレベル」がどこまでかを自分で判断するのが難しい領域です。受けると決めたなら、日程の確認が先です。生成AIアドバイザーはいつ受けられる?にまとめたとおり、申し込みは試験日のかなり手前で閉まります。
このあたりが不安なら、主催団体が案内している対策講座を使う手があります。主催団体の講座なので、範囲と定義のズレが起きません。
| SMART答練(生成AIアドバイザー) | 内容 |
|---|---|
| 収録時間 | 約1時間54分 |
| 収録問題 | 40問(講師が1問ごとに解答・解説) |
| 扱うトピック | ルールベースAI、機械学習、生成AIの特徴、プロンプトエンジニアリング、ハルシネーション、著作権・個人情報管理、AI導入時のポリシー、マルチモーダルAIなど計40テーマ |
| 講師 | 土屋衛治郎氏(データ分析・AI分野の研修講師) |
| 受講料 | 7,500円(税込) |
※価格は2026年7月時点の調査によるものです。変動する場合があるので、申込時は販売ページでご確認ください。
※試験申込済みの方向けの割引プランも案内されています(条件・金額は販売ページでご確認ください)。
※このほか教科書付きのコースも用意されています(受講料は販売ページでご確認ください)。
注意点も書いておきます。答練は問題演習の講座であって、ゼロから学ぶ教科書ではありません。収録が約1時間54分・40問なので、基礎知識がない状態でこれだけを買うと消化できない可能性があります。2級受験料8,800円に対して7,500円という価格なので、「本を読んで自力で仕上げられる人」には割高です。逆に独学して不安が残っている段階の仕上げとしては、講師の解説が1問ずつ付くぶん効率がいい構成です。
なお講座の申込は、主催団体の講座ラインナップページから選ぶ形になっています。生成AIアドバイザーの講座もこの一覧に含まれています。
講座を使うかどうかの、ざっくりした基準
受けると決めたあと、独学か講座かで迷うと思います。AI資格は全体として独学で届く人のほうが多いので、まずはテキストから入って問題ありません。
分かれ目になるのは、「どこまでやれば終わりかを自分で決められるか」です。範囲を自分で区切れる人は独学で足ります。用語の多さで終わりが決められない人、活字を読むこと自体が続かない人、そして会社が費用を出してくれる人は、講座を検討する価値があります。
AI資格の講座は10,780円から27,280円までと幅があり、主催団体そのものが出しているものもあります。価格と中身を並べたものはAI資格の講座はどれ?にまとめました。合格特典(全額返金)を「実質無料」と読まないほうがいい理由もそちらに書いています。
よくある質問
Q2級を取らないと1級は受けられませんか?▼
いいえ。公式に「1級・2級、どちらの級からでも受験できます」と記載されています。2級合格は1級受験の条件ではありません。
Q合格率はどのくらいですか?▼
公表されていません。そのため合格率から難易度を判断することはできません。手がかりになるのは、正答率70%以上という基準と、記述がない出題形式です。なお公式には「難易度により調整し、正答率70%以下でも合格とする場合があります」とあります。
QAI活用アドバイザーとどちらを選べばいいですか?▼
生成AIを自分で使いこなしたいなら生成AIアドバイザー(プロンプトエンジニアリングが範囲に入ります)、AI導入を企画・推進する立場を目指すならAI活用アドバイザーです。基礎・事例・倫理は重なるので、両方受ける必要性は高くありません。
Qプログラミングの知識は必要ですか?▼
出題範囲に実装は含まれていません。モデル構築やコーディングの力を問う試験ではないため、非エンジニア職でも取り組めます。
Q会場に行かずに受けられますか?▼
はい。CBT受験(+1,500円)またはオンラインIBT受験(+3,000円)が用意されています。追加費用がかからないのは公開会場受験です。
まとめ:「使えている」を「説明できる」に変える試験
生成AIアドバイザー認定試験は、生成AIを使う側の知識を体系化するための民間資格です。2級は一般8,800円・50問・60分、1級は11,000円・100問・120分で、どちらの級からでも受験できます。合格基準は正答率70%以上。
プロンプトエンジニアリングまで範囲に入っているのがこの試験の性格で、AIを組織に導入する側の知識が欲しいならAI活用アドバイザーのほうが近い、という住み分けでした。
弱点も挙げておくと、満点・配点と合格率がどちらも非公開なので対策の作戦が立てにくく、民間資格ゆえに履歴書でのアピール力も限定的です。ここを期待しすぎないことが大事です。もうひとつ、合格後は認定カードに更新制度があります。費用と扱いは生成AIアドバイザーは更新が要る?にまとめました。
それでも、「なんとなく使っている」状態から「リスクも含めて説明できる」状態に移るための投資としては、範囲の設計が実務に近く、価格も抑えめで、悪くない選択だと思います。
生成AIは、使える人と説明できる人の差がこれから開くと思います。説明できる側にいると、仕事の頼まれ方が変わります。
