似ているのは、名前だけです。
しかも比べるべき相手が、あなたが思っている試験ではないかもしれません。まず3つを分けるところから始めます。
「統計検定」と「DS検定」で調べて、読めば読むほど分からなくなった——そういう状態でここに来ていませんか。
それは、あなたの理解が足りないからではありません。紛らわしい名前の試験が、実は3つあるからです。
こんにちは、現役ITエンジニアのごんちゃんです。いまはQA(品質保証)の仕事をしながら、AIを業務に取り入れる取り組みを担当しています。データを扱う場面が増えたので、この手の試験名は仕事のなかで何度も目にしてきました。
最初に言っておくと、「DS」という略称を使う試験が2つあります。ここが混乱の正体です。
混ざっているのは、この3つです
検索結果で入り混じっているのは、次の3つです。まず自分がどれの話をしているのか、確かめてください。
| 項目 | 統計検定3級 | 統計検定 データサイエンス基礎 | DS検定(データサイエンティスト検定) |
|---|---|---|---|
| 主催 | 日本統計学会公式認定 | 日本統計学会公式認定 | データサイエンティスト協会 |
| 試験時間 | 60分 | 90分 | 100分 |
| 問題数 | 30問程度 | 大問8題・小問約45問 | 100問 |
| 合格基準 | 100点満点で65点以上 | 100点満点で60点以上 | 非公表 |
| 受験料 | 6,000円 学割4,000円・税込 | 7,000円 学割5,000円・税込 | 10,000円 学生5,000円・税抜 |
| パソコン操作 | 選ぶだけ | Excelで前処理と集計をする | 選ぶだけ |
| 性格をひとことで | 計算できるか | 作業できるか | 言葉を知っているか |
表の最後の行が、この記事でいちばん持ち帰ってほしいところです。3つは難易度の階段ではありません。測っているものが違います。
「DS」がぶつかっているせいで混乱します
いちばんの落とし穴がここです。統計検定には「データサイエンス基礎」という種別があり、公式でもDS基礎と略されます。一方で、データサイエンティスト検定も一般にDS検定と略されます。
「DS」とだけ書かれた対策教材や講座は、どちらの試験のものか必ず確認してください。統計検定側はExcelの操作が出ますが、データサイエンティスト検定側は出ません。間違えると、勉強の中身がまるごとずれます。
ちなみに統計検定は、1級だけが紙の試験で、準1級から4級・調査士系・データサイエンス系はすべてパソコンで受けるCBT方式です。「統計検定は紙で年1回」というイメージを持っている方は、そこも更新しておいてください。
手を動かすのは、DS基礎だけです
統計検定のデータサイエンス基礎は、公式に「表計算ソフトExcelを用いてデータの前処理や集計を行い」と書かれています。実際にデータを渡されて、手を動かして答えを出す試験です。90分で大問8題、小問はあわせて45問ほど。合格ラインは100点満点で60点です。
問われるのは、データマネジメント、クロス集計分析、相関・回帰分析といった内容です。想定されている土台は高校の数学I「データの分析」・数学B「統計的な推測」・情報I・情報IIのあたりだと公式に書かれています。
実務の感覚でいうと、ここがいちばん仕事に直結します。職場で本当に困るのは、統計の理屈より「渡された表が汚くて集計できない」ほうなので。
うーんなところも書いておきます。Excelの操作が入るぶん、普段からExcelを触っていない人には、勉強の前にもう一段の助走が要ります。関数の名前を知らない状態からだと、90分は決して余裕のある時間ではありません。
DS検定は、計算ではなく範囲で殴ってきます
いっぽうのデータサイエンティスト検定は、100分で100問です。単純に割ると1問あたり1分。じっくり計算する時間はありません。
その代わり、聞かれる範囲が広いです。データを扱う技術の話だけでなく、ビジネス側の考え方や、データを扱ううえでの決まりごとまで入ってきます。統計検定のように「この式が解けるか」を見る試験ではありません。
うーんなところは、合格基準も合格率も公表されていないことです。「何点取れば受かるのか」が事前に分からないので、勉強の切り上げどきが自分では決めにくい。ここは正直、受ける側にとってやりにくい部分です。
それと、受験料の表示が税抜である点にも注意してください。他の試験と並べて比べていると、ここで印象がずれます。試験そのものの中身はDS検定は文系でも受かる?で細かく書いています。
実務で先に効くのは、地味なほうです
ここからは、資格の説明ではなく仕事の話をします。私はいま、QAの仕事をしながらAIを業務に取り入れる担当をしています。データを触る場面が増えたので、この3つの力が実際にどこで要るのかは、それなりに見てきました。
結論を言うと、いちばん最初に効くのは「作業できるか」です。統計の理屈でも、用語の知識でもありません。
実際に詰まるのは、たいてい手前の段階です。渡された表の日付の書き方がそろっていない。同じ意味の項目が2つの列に分かれている。空欄の意味が「ゼロ」なのか「未記入」なのか分からない。分析に入る前のここで止まります。
AIに任せようとしても同じです。汚いままの表を渡すと、もっともらしい嘘が返ってきます。前処理を人が分かっていないと、出てきた答えの正しさを判定できません。
その意味で、統計検定のデータサイエンス基礎が問う「前処理と集計」は、いま業務でいちばん潰しが効く部分だと思っています。範囲が狭く見えるぶん、地味に見えるかもしれません。ですが職場で頼られるのは、この作業ができる人です。
逆にDS検定の広さが効くのは、もう少しあとの場面です。人と話すとき、他部署の説明を聞くとき、外部の提案を評価するとき。言葉を知らないと、そもそも会話の土俵に乗れません。どちらが上ということではなく、効いてくる順番が違います。
結局、どれを選べばいいのか
目的から逆算すると、迷いはほぼ消えます。3つの分かれ道で考えてください。
- 職場でデータを集計する立場になった——統計検定のデータサイエンス基礎。手を動かす練習がそのまま仕事になります
- データやAIの話題についていけるようになりたい——DS検定。用語と考え方を一度まとめて浴びられます
- 統計そのものを学び直したい——統計検定3級。範囲は大学基礎統計学ですが、60分30問程度と手が届く規模です
ひとつだけ補足します。「AIの資格」として履歴書に書きたいのなら、この3つは最短ではありません。データ寄りの試験なので、生成AIの話題を扱う試験とは別の棚にあります。そちらはAIの資格はどれを取るべき?で比べています。
よくある質問
Q統計検定とDS検定は、どちらが難しいですか?▼
難易度の階段になっていないので、比べる形になりません。統計検定3級は60分30問程度で100点満点中65点、統計検定のデータサイエンス基礎は90分で100点満点中60点と、合格ラインが公表されています。いっぽうDS検定は合格基準が非公表です。判定の仕組みそのものが違うため、どちらが難しいという言い方は成り立ちません。
Q「DS基礎」と「DS検定」は同じものですか?▼
別の試験です。DS基礎は統計検定のなかの種別で、正式には統計検定データサイエンス基礎といいます。DS検定はデータサイエンティスト協会が実施しているデータサイエンティスト検定の略です。主催団体から違うので、教材を買うときは略称ではなく正式名称で確かめてください。
QExcelが苦手でも受けられますか?▼
統計検定のデータサイエンス基礎は、公式に表計算ソフトExcelでデータの前処理や集計を行うと書かれているので、操作に慣れていないと厳しくなります。90分で大問8題を進めるため、手が止まると時間が足りません。Excelを避けたい場合は、DS検定や統計検定3級のほうが選ぶだけで答えられます。
Q統計検定は紙の試験ではないのですか?▼
紙で行われるのは1級だけです。準1級から4級、統計調査士系、データサイエンス系はいずれもパソコンで受けるCBT方式だと公式に書かれています。年1回の紙の試験というイメージのままだと、受けられる時期を取り違えます。
Q受験料はどれがいちばん安いですか?▼
統計検定3級が一般6,000円・学割4,000円、統計検定データサイエンス基礎が一般7,000円・学割5,000円で、いずれも税込表示です。DS検定は10,000円・学生5,000円ですが、こちらは税抜表示なので、支払う金額は表示より上がります。並べるときは税の扱いをそろえてください。
