同じ名前ですが、級で別の試験になります。
「実装」という名前で引き返した人ほど、公式の出題内訳を見ておいてください。判断が変わるかもしれません。
AI実装検定。名前に「実装」と入っているだけで、そっと閉じませんでしたか。
その反応は半分正しくて、半分もったいないです。公式の出題内訳を見ると、級によって中身がまったく違います。
こんにちは、現役ITエンジニアのごんちゃんです。いまはQA(品質保証)の仕事をしながら、AIを業務に取り入れる取り組みを担当しています。コードを書く側の景色を知っているので、「どこからが本当にエンジニアの領域か」は線を引けます。
先に言ってしまうと、A級とS級はエンジニア向けです。迷う余地があるのはB級だけ。
3つの級は、難易度の階段ではありません
まず公式に書かれている内訳を並べます。ここを見るだけで、名前の印象がかなり変わります。
| 級 | 時間・問題数 | 出題の中身 | 受験料(税込) |
|---|---|---|---|
| B級 | 40分・30題 | AI超入門30題 学習と推論・データ・パターン認識など | 9,900円 学割5,500円 |
| A級 | 60分・60題 | 数学20題+プログラミング20題+AI20題 Numpy・Pandas・Matplotlibなど | 14,850円 学割8,250円 |
| S級 | 60分・50題 | PyTorchとKerasの実装 Transformer・ResNetなど | 33,000円 |
合格基準はどの級も70%以上。受験方式はテストセンターでのCBTで、四肢択一の選択問題です。受験資格の制限は公式に書かれていません。学割は学生だけでなく職業訓練生も対象と記載があります。
※価格は2026年9月時点の調査によるものです。変動する場合があるので、申し込み時は公式サイトでご確認ください。
B級だけは、名前の印象と中身がずれています
B級の出題は、公式の表記で「AI超入門」30題です。学習と推論、データ、パターン認識といった7つの側面から出題されると書かれています。
つまりコードを書かせる試験ではありません。「AIとは何をしているものか」を、いくつかの角度から順に確認していく形です。40分で30題なので、1問あたり80秒ほど。考え込む試験ではなく、知っているかどうかの試験だと分かります。
「実装」の名前で敬遠していた人には、ここが朗報だと思います。B級はプログラミングの試験ではありません。
ただしうーんなところもはっきりしています。合格ラインが70%なので、30題のうち落とせるのは9題まで。範囲が狭いぶん、取りこぼしが効きます。「入門だから流し読みでいい」という試験ではありません。
もう一つ。B級は9,900円で、生成AIパスポートやG検定と同じくらいの価格帯です。入門として比べるなら、知名度と扱われる範囲も一緒に天秤にかけたほうがいいと思います。
A級から先は、はっきりエンジニア側です
A級は60題のうち、数学が20題、プログラミングが20題。AIそのものの問題は20題だけです。3分の2が土台の力を見る問題という構成になっています。
プログラミングの側では、NumpyやPandas、Matplotlibといったライブラリを使う知識が問われると書かれています。これは「Pythonでデータを扱った経験があるか」を聞いていると読んで差し支えありません。
S級はさらに先です。PyTorchとKerasを使った実装問題で、TransformerやResNetといったモデルの名前が並びます。ここは仕事でモデルを触っている人の領域です。33,000円という受験料も、それを前提にした水準だと思います。
B級とA級のあいだには、数学とプログラミングという別の勉強がまるごと入ります。連続した階段ではないので、B級の勉強を延長してもA級には届きません。A級を目指すなら、Pythonの学習を別に始める必要があります。
効いてくるのは、70%というラインです
この試験を独学で受けるなら、いちばん気をつけるのは合格基準だと思っています。3つの級すべてで70%以上。問題数に当てはめると、こうなります。
- B級 30題 → 落とせるのは9題まで
- A級 60題 → 落とせるのは18題まで
- S級 50題 → 落とせるのは15題まで
数字だけ見ると余裕がありそうですが、範囲が狭い試験ほど70%はきつくなります。出題の幅が限られているぶん、知らない論点にぶつかったときの逃げ場がないからです。
とくにA級は要注意です。数学20題を丸ごと落とすと、その時点で残り40題を全問正解しても届きません。60題の70%は42題なので、計算が合わなくなります。「得意な分野で稼いで苦手を捨てる」が使えない配点だということです。
後輩の勉強を見ていて多いのが、苦手な分野を最後まで先送りにするパターンです。この配点だと、そのやり方が一番危ない。
B級についても同じことが言えます。40分で30題、1問あたり80秒。迷って戻ってくる時間はほとんどありません。「入門だから」と構えずに、7つの側面をひととおり埋めてから受けるのが確実です。
未経験なら、B級を選ぶ理由があるか
正直に書きます。未経験からAIの資格をひとつ選ぶなら、B級が最有力とは言いにくいです。理由は2つあります。
ひとつは名前です。履歴書に「AI実装検定B級」と書いたとき、読む側は「実装」の3文字を先に見ます。実際にはコードを書かない試験なので、説明が要る資格になってしまいます。
もうひとつは扱う範囲です。B級はAIの仕組みの側に寄っています。いま職場で必要とされているのは、生成AIをどう業務に使うか、どこに気をつけるかのほうが多い。そちらは別の試験の守備範囲です。
逆に、B級が向いている人もはっきりしています。AIの中身そのものに興味があって、いずれはA級やPythonにも進む気がある人です。この場合、B級は目的地ではなく通過点として機能します。用語だけ知りたいのか、仕組みを知りたいのか——そこで分かれます。
プログラミングが要るかどうかで資格が割れる話はAIの勉強にプログラミングは要る?に、5つの試験の比較はAIの資格はどれを取るべき?にまとめています。
よくある質問
QAI実装検定B級はプログラミングができないと受かりませんか?▼
B級の出題は公式に「AI超入門」30題と書かれていて、学習と推論・データ・パターン認識といった側面から出題されます。コードを書かせる試験ではありません。ただし合格基準は70%以上なので、30題のうち落とせるのは9題までです。入門だからといって流し読みで通る試験ではありません。
QB級から順番に受けないといけませんか?▼
公式に受験資格の記載はないので、どの級からでも申し込めます。ただしB級とA級は連続した階段ではありません。A級は60題のうち数学が20題・プログラミングが20題で、3分の2が土台の力を見る問題です。B級の勉強を延長してもA級には届かないので、進むならPythonの学習を別に始める必要があります。
Q受験料はいくらですか?▼
2026年9月時点の公式表示で、B級が一般9,900円・学割5,500円、A級が一般14,850円・学割8,250円、S級が33,000円です。いずれも税込表示で、学割は学生のほか職業訓練生も対象と書かれています。変動する場合があるので、申し込み時は公式サイトでご確認ください。
Qオンラインで自宅から受けられますか?▼
公式にはテストセンターでコンピュータに回答するCBT形式と書かれています。出題は四肢択一の選択問題です。自宅から受けられる試験と混同しやすいので、申し込む前に会場の確認をしてください。
Q履歴書に書いても意味がありますか?▼
書くこと自体に問題はありませんが、名前に「実装」と入っているぶん、B級では説明が必要になります。実際にはコードを書かない試験だからです。AIの仕組みそのものに興味があってA級やPythonにも進む予定があるなら通過点として意味がありますが、業務での使い方を示したいのであれば、別の試験のほうが伝わりやすいと思います。
