「衛生管理者を取っておいて」と会社から言われた。あるいは、キャリアの足しになりそうだから受けてみようと思った。
どちらの入り方でも、最初にぶつかるのが「そもそも自分は受けられるのか」です。
この試験は、申し込みボタンを押せば受けられるタイプではありません。条件が2つあって、しかも片方は自分ひとりでは用意できません。
勉強を始める前に、確かめることがあります。
条件は学歴と、働いた年数の組み合わせで決まります。そして手続きには会社に出してもらう書類が要ります。ここを後回しにすると、教材を買ったあとで受けられないと分かることになります。
条件は「学歴 × 年数」で決まります
試験を実施している安全衛生技術試験協会が公表している区分を、そのまま並べます。必要なのは労働衛生の実務に従事した年数です。
| 学歴など | 必要な年数 |
|---|---|
| 大学・短期大学・高等専門学校 | 1年以上 |
| 高等学校・中等教育学校 | 3年以上 |
| 高度職業訓練(専門課程・特定専門課程) | 1年以上 |
| 高度職業訓練(応用課程) | 1年以上 |
| 普通職業訓練 | 3年以上 |
| 実務のみ(学歴を問わない) | 10年以上 |
| 外国で14年以上の課程 | 1年以上 |
(出典:安全衛生技術試験協会「第一種・第二種衛生管理者の紹介」)
注目してほしいのはいちばん下の行です。学歴に関係なく、労働衛生の実務が10年以上あれば受けられます。学歴で門前払いになる試験ではありません。
逆に、大学を出ていても年数が足りなければ受けられません。ここが「誰でも受けられる」と思われがちな理由でもあります。
「労働衛生の実務」の範囲は、公式に列挙がありません
ここが、この試験でいちばん引っかかるところだと思います。
年数を数えるには、まず「自分の仕事は労働衛生の実務に入るのか」を判断しなければいけません。ところが協会の紹介ページには、どんな業務が該当するのかの具体例が列挙されていません。
示されているのは、衛生管理者という職務の中身のほうです。労働者の健康管理、作業環境の管理、作業の管理といった大きな括りになります。
ここは私が代わりに一覧を作っても意味がありません。判断するのは協会と会社だからです。書けるのは「どこに聞けば確定するか」までです。
ネット上には「こういう仕事なら入る」という一覧を載せているページがいくつもあります。参考にはなりますが、それを見て自己判断で申し込むのは危ないです。判断するのは受験する本人ではないからです。
自分の業務が該当するかは、会社の担当部署(人事や総務、安全衛生の担当)に聞くのがいちばん早いです。次で説明する書類を書くのもその部署なので、どのみち話を通すことになります。判断がつかない場合は協会に問い合わせてください。
自分ひとりでは、申し込みが完結しません
これが2つ目の条件です。
実務経験は自己申告では通りません。「事業者証明書」という書類を会社に作成してもらい、添付する必要があります。用紙は協会のサイトでダウンロードできます。
つまり、受けると決めた時点で、会社に話を通さないといけないということです。「こっそり勉強して、受かったら報告しよう」ができません。
会社の指示で受ける方なら、ここは問題になりにくいはずです。問題になりやすいのは、自分の意思で受けたい方です。書類を頼む相手と、どう切り出すかを先に考えておいてください。
テキストを買う前に、事業者証明書を出してもらえるかを確認してください。年数が足りない、書類を出せないと後から分かると、勉強した時間ごと持ち越しになります。この試験は「受けられるか」を先に確定させるタイプです。
受けられると分かったら、次に決めること
条件を満たしていることが確認できたら、今度は第一種と第二種のどちらを受けるかです。これは好みではなく、勤務先の業種で決まります。
協会の説明はこうです。
第一種衛生管理者免許を有する者は、すべての業種の事業場において衛生管理者となることができます。第二種衛生管理者免許を有する者は、有害業務と関連の少ない情報通信業、金融・保険業、卸売・小売業など一定の業種の事業場においてのみ、衛生管理者となることができます。
そして試験の中身も変わります。
| 科目 | 第一種 | 第二種 |
|---|---|---|
| 労働衛生 | 17問 | 10問 |
| 関係法令 | 17問 | 10問 |
| 労働生理 | 10問 | 10問 |
| 試験時間 | 3時間 | 3時間 |
第一種は44問、第二種は30問。問題数が違うのに試験時間は同じ3時間です。第二種のほうが時間には余裕がある計算になります。
合格の基準は共通で、科目ごとの得点が40%以上で、かつ合計が60%以上と公表されています。1科目でも40%を切ると、合計が足りていても不合格という作りです。苦手科目を捨てられません。
うーんなところ:調べても、自分が該当するか確定しません
正直に書くと、この試験は入口がいちばん面倒です。年数の表は公開されているのに、その年数を数える基準になる「労働衛生の実務」の中身が、公式には具体例として出ていません。
結果として、いくら検索しても自分のケースが該当するかは確定しないままです。最後は会社と協会に聞くしかありません。ここで止まってしまう人は、けっこう多いのではないかと思います。
ただ、裏を返せば確認さえ通れば、あとは素直な試験です。範囲は3科目で固定、合格基準も公表されています。面倒なのは最初だけなので、まず会社に聞くところだけ、今日のうちに済ませてください。
今日やること
大学なら1年、高校なら3年、学歴を問わないなら10年です。
同時に、事業者証明書を出してもらえるかも確認しておくと二度手間になりません。
教材は種別で変わるので、ここが決まるまで買わないでください。
会社から言われて受ける方は、そもそも何のために取らされるのかが分からないまま始めることもあると思います。似た状況の整理を会社に資格を取れと言われた時にに書いたので、聞いておくべきことの参考にしてください。
ほかの資格と迷っている段階なら社会人が今から取るならどの資格?、年内に何か取りたいなら今から年内合格に間に合う?をどうぞ。
3科目のどれも40%を切れないので、苦手を残したまま本番に行けません。範囲を絞ってもらえること自体が講座の価値になります。内容と進め方は公式ページで確認してみてください。
アガルート 衛生管理者試験は第一種29,480円/第二種26,180円(いずれも税込)。特例第一種は12,980円です。いずれも公表問題に対応した版で、合格したときの特典もあります(適用条件は公式ページでご確認ください)。
アガルート 衛生管理者試験の講座を見る(公式サイト)※受験資格・試験科目・合格基準は2026年8月時点の安全衛生技術試験協会 公式サイトの記載です。変更される場合があるので、申し込み前に必ず公式ページでご確認ください。当サイトはアフィリエイトプログラムを利用しており、リンクから申し込みがあった場合に紹介料を受け取ることがあります。
よくある質問
Q実務経験がなくても受けられますか?▼
受けられません。学歴に応じた年数の労働衛生の実務が必要です。大学・短期大学・高等専門学校を出ている場合は1年以上、高等学校・中等教育学校の場合は3年以上、学歴を問わない場合は10年以上と公表されています。年数は自己申告ではなく、会社が作成する事業者証明書で証明します。
Q自分の仕事は「労働衛生の実務」に入りますか?▼
協会の紹介ページには、該当する業務の具体例が列挙されていません。示されているのは労働者の健康管理、作業環境の管理、作業の管理といった大きな括りです。そのため個別のケースは、会社の人事や総務、安全衛生の担当部署に確認するのが確実です。判断がつかない場合は実施団体に問い合わせてください。
Q会社に知られずに受けることはできますか?▼
できません。申し込みには事業者証明書という書類が必要で、これは会社に作成してもらうものです。用紙は協会のサイトでダウンロードできますが、記入するのは自分ではありません。受けると決めた時点で、会社に話を通す必要があります。
Q第一種と第二種はどちらを受けるべきですか?▼
勤務先の業種で決まります。第一種はすべての業種の事業場で衛生管理者になれますが、第二種は有害業務と関連の少ない業種、たとえば情報通信業、金融・保険業、卸売・小売業などに限られると公表されています。試験も第一種が44問、第二種が30問と量が違います。教材も種別で分かれるので、決めてから買ってください。
まとめ
この試験でいちばんもったいないのは、勉強したあとに受けられないと分かることです。教材を買う前に、会社に一言聞くだけで防げます。
